筆者は昨年支払った医療費を計算した結果、合計が10万円を越えたため、所得税の確定申告で医療費控除を申告しました。(以降、この稿で確定申告と言ったら所得税の確定申告のことだとお考え下さい)
そもそも昨年会社を退職して年末調整をしていないので、確定申告するつもりで準備をしていたので、割とすんなりと申告することができたと思います。
もちろん、デジタル好きの筆者としてはe-Taxを使ってインターネットだけで済ませました。
実は今回初めて知ったのですが、確定申告期間(令和2年は2月17日から3月16日まで)にかかわらず、e-Taxを使えば1月から申告(送付)することができたんですね。
以下に経過をまとめましたので、確定申告をネットで済ませようと思っている方の参考になればと思います。
給与所得者の確定申告
まずは給与所得者で確定申告が必要となる条件を簡単に確認しておきたいと思います。
確定申告というのは、1月から12月までの間の収入と控除を申告し、その年の所得税額を確定させる手続きです。
会社員などは毎月の給与から税金を源泉徴収されていますが、その年に支払った保険料などの控除は反映されていないので、それらをまとめて税金を再計算し、過不足を調整するのが年末調整です。
但し、給与が年間2000万円を超えたり、給与所得及び退職所得以外に20万円以上の所得があったりといった、一定の条件に当てはまる人は確定申告をしなければなりません。(詳しくは国税庁のサイトを参照)
もちろん、年末調整していない給与収入がある人も基本的に確定申告が必要ですし、医療費控除など年末調整では対応できない控除についても、確定申告で控除を申告することになります。
確定申告をインターネットで行うための準備
確定申告をインターネットで行うには、まず確定申告用データを、国税庁のWebサイト「確定申告書等作成コーナー」(個人向け)あるいはe-Taxソフト(PC版)、もしくはe-Taxに対応した一般の会計ソフトを利用して作成する必要があります。
作成した確定申告用データは、e-Taxのしくみにより国税庁に送信することができます。
e-Taxソフトを使って送信するためには、電子証明書の登録と利用者識別番号及び暗証番号の入手といった事前準備が必要となりますが、「確定申告書等作成コーナー」を利用する場合は、マイナンバーカード方式、あるいはID・パスワード方式のどちらかの方式で、より簡便にe-Tax送信することができるようになっています。(2019年1月より)
筆者は既にマイナンバーカードを取得していたので、 「確定申告書等作成コーナー 」をマイナンバーカード方式で利用することにし、ICカードリーダーを購入しました。
ICカードリーダライタは公的個人認証サービスに対応した機種である必要があります。対応機種については以下のリンク先を参照して下さい。
マイナンバーカードに対応したICカードRW一覧/JPKI
(リンクが切れている場合はこちらから)
ちなみに筆者が購入したのはSONYのRC-S380という機種です。
マイナンバーカード方式
マイナンバーカードとパソコン+ICカードリーダーがあれば、「確定申告書等作成コーナー」から申告用データを作成し、直接送信することができます。
Bluetooth機能付きのWindowsパソコンを使う場合は、マイナンバーカード対応のAndroidスマートフォンをICカードリーダーの代りに使うことができます。
現時点(2020年2月)ではマイナンバーカード対応のiPhoneをICカードリーダーの代りとしてパソコンから確定申告書を送付することはできませんので注意して下さい。
ID・パスワード方式
税務署で職員との対面による本人確認の上e-Taxの開始届出書を提出する必要がありますが、e-Taxログイン用ID・パスワードを取得すれば、マイナンバーカードやICカードリーダーがなくても、「確定申告書等作成コーナー」から申告用データを作成し、直接送信することができます。
但しこの方式は、マイナンバーカードが普及するまでの暫定的な対応ということなので、いつまで利用できるかは不明です。
スマートフォンによる確定申告
2019年1月から、スマートフォンに最適化された「確定申告書等作成コーナー」画面を利用して確定申告ができるようになりました。
当初(平成30年度分)は収入が給与所得(年末調整済み1か所)のみなど、利用できる人が絞られていましたが、2020年1月からは対象者が大幅に拡大されています。
またスマートフォンからはID・パスワード方式に限定されていたe-Tax送信も、マイナンバーカード方式が使えるようになりました。
但しスマートフォンは公的個人認証サービスに対応した機種である必要があります。対応機種については 以下のリンク先 を参照して下さい。
マイナンバーカード対応NFCスマートフォン/JPKI
(リンクが切れている場合はこちらから)
筆者が使っているiPhoneは対象機種に含まれていましたが、筆者はパソコンで申告したかったので、ICカードリーダーを調達しました。
確定申告に必要な書類の準備
確定申告するために必要な情報・書類は、収入・所得の入力に必要なもの、及び控除の入力に必要なものです。
筆者が準備したのは、源泉徴収票、生命保険の控除証明書、地震保険の控除証明書、そして医療費の領収書です。
医療費領収書については、事前に医療費集計フォームに入力しておきました。
このフォームに入力しておけば、確定申告書データ作成時に情報を取り込むことができるので楽でした。 最新の医療費集計フォームは確定申告書等作成コーナーからダウンロードすることができます。
給与所得以外に副収入がある場合は、その情報(収入と必要経費)も必要です。
20万円以下は確定申告不要と言うのは、そのためだけに確定申告する必要はないと言うことであって、他の理由で確定申告する場合は、少額であっても副収入があれば合わせて申告する必要があります。
確定申告書の作成・送信
確定申告データの入力は、基本的に画面通りに入力していくだけなので、特に難しいことはありません。
確定申告書データの入力が終わったら、印刷して最終確認をすることができます。
そして問題なければ、そのままe-Taxにより送付することができます。
確定申告結果の確認
e-Taxによる送信結果や税務署からのお知らせ等は、e-Taxのホームページ、あるいはマイナポータルから「e-Tax受付システム」に入り、メッセージボックス一覧から確認することができます。
また、e-Taxにメールアドレスを登録しておけば、税務署からのお知らせが更新されたときに通知が来るようになります。
なおセキュリティ強化のため、現在はメッセージボックスの通知内容の閲覧には電子証明書による認証が必要になっています。
従ってマイナンバーカードを持たずにID・パスワード方式で確定申告書を送付した人は、メッセージボックスを見られない(但しエラーメッセージは見られる)ことになります。これでは確定申告書が受け付けられたことを確認する受信通知も見られないことになるため、送信終了後に表示される即時通知画面から受信通知を表示できるようになっています。
来年の確定申告に向けて
e-Taxの一連の手続きの最後に、「マイナポータルにログインして来年の申告の準備をしてください」という案内が表示されました。
国税庁では、今年(令和2年)分の保険料控除から控除証明書データを自動取得して手続きを簡略化できる仕組みの構築を進めていて、そのために必要になるマイナポータルの準備を促すものと思われます。
但しマイナポータルを利用するにはマイナンバーカードが必要なので、この案内が出るのはマイナンバーカード方式を利用した人だけかも知れません。
ちなみに保険料控除証明書の電子化については今年の年末調整から導入される予定ですが、今のところ控除を受ける側が各保険会社から控除証明書データを取得しに行く必要があるようです。
但しマイナンバーカードを取得している人については、マイナポータルの機能で自動的に控除証明書データを取得できるようになる予定です。
更に令和3年1月からの確定申告でも、マイナポータル経由で控除証明書データを取得すれば、簡単に確定申告書に数字を取り込むことができる模様です。
ということで、筆者は早速マイナポータルの利用者登録と、「国税電子申告・納税システム(e-Tax)」との連携は設定しましたが、各保険会社の「民間送達サービス」については、つなげることができるサイトの一覧にはまだありませんでした。おそらく10月までには準備されるものと思われます。
まとめ
以上、初めての医療費控除と確定申告をe-Taxで申告したという話でした。
素直にマイナンバーカードとICカードリーダーを準備しておいたので、あまり苦労することなくインターネットだけで確定申告をすませることができましたが、ID・パスワード方式やスマートフォンだけでの確定申告は、細かい制限がちょこちょこあるように見受けられるのでちょっと不安ですね。何だかんだ言ってどうせいずれ必要になりそうなので、早めにマイナンバーカードを取得しておくことをおすすめします。
以下に参考サイトのリンクを載せておきます。